南アルプスオールスターズの絶景 櫛形山・裸山 : Day1

2021年12月中旬の週末、南アルプスの前衛峰で、日本二百名山・山梨百名山の櫛形山へ。

櫛形山は、地理的には富士山の北西に位置し、静岡県側から南アルプスへの入口にあたる奈良田の東側、北には首都圏から南アルプスへのメインルートである芦安、さらに北には昨冬に登った甘利山・千頭星山がある。甲府盆地からばっちり拝め、和櫛の形に似て見えることに名前が由来するという、いつか積雪期に…とメモしていた山。

 

櫛形山・裸山 : 山行ログ

 

県民の森駐車場〜唐松岳〜裸山


湘南の自宅から圏央道〜中央道・甲府南IC経由で約2時間、山梨県南アルプス市にある県民の森駐車場(標高890m)へ。
甲府南IC周辺にはコンビニが複数あり、セブンイレブンで朝食購入とトイレをお借りして伊奈ヶ湖のほとりにある駐車場へ向かう。ICから比較的近く、駐車場まで積雪なし、出発までに駐車場には5台ほど、外気温0.8℃と想定していたよりも暖かい。あたりではシカの鳴き声が幾度となく聞こえる。


北尾根登山道取り付きまでは舗装路を歩く。
山梨県 県営林道櫛形山線は、冬季も見晴らし平までは車で通行可能。

山頂までの登山道は5本あり車アクセスでの周回コースも取りやすく、頂稜は標高2,000mを超えつつ比較的平坦な地形。


池の茶屋登山口(標高1,860m!!)まで車でアクセスし標高差少ないハイキングルートが人気のようだけど、そちらへの県営林道池の茶屋線は冬季閉鎖中(今冬は2021年12月1日〜2022年5月26日)で、今回は北尾根登山道で登り、下山ルートで中尾根登山道をとった。


北尾根登山道は最初に急登があるのでペースを上げすぎず登る。
最近は泊まりの山行でも、テントを頂稜まで担がずに下山してきてのテント泊が多かったので、食料/水も含めて久しぶりの冬装備13kg超の荷物はずっしりとくる。今回のバックパックは荷物が収まったこともありKS ultralightgearのKS40を選択したけれど、10kg超の場合は腰荷重のEXPED〈エクスペド〉Lightning 60にした方が楽かな。60リットルサイズで大げさだけれど。


見晴らし平まで登ると舗装路(櫛形山線)があらわれ、ここでゲートがクローズされている。


富士山、八ヶ岳の眺望があり、見晴らし平まで車であがると最初の舗装路歩きも入れて距離4.3km、標高差400m、標準CT2hの短縮になるけれど、この日は1台も停まっていなかった。


恋人の聖地と呼ばれているらしくモニュメントや鐘があり「ゴーン!」と一発鳴らして進む。



引き続き登る北尾根は、落ち葉が多い斜面のトラバースが続くが油断せずに進めば問題ない。周回なら、北尾根で登って中尾根で下りるほうが歩きやすそう。


歩き始めてから約2時間半、櫛形山頂稜のアヤメ平に到着。
アヤメ自生地保護のために一帯が金網で囲まれていて、扉を開いて進む。積雪時用にスコップと、積雪が増えた時のためだろうか、乗り越え用のはしごもある。


中に入ると数日前に降った雪がかなり残っていて、足の運びが気持ち良い。踏み跡もそこそこある。


避難小屋もあり中を覗いてみる。扉が重い。
小屋の中は綺麗で光も入るけれど、場所がら休憩で利用されることがほとんどだろうという印象。外のベンチで少し休憩して進む。


アヤメ平から北にある唐松岳へ向かう。
こちら方面は積雪後に動物以外の踏み跡なしでフカフカパウダー!


アヤメ平〜唐松岳の間には芦安方面への分岐があり、こちらは廃道になった登山道をボランティアの方々が整備されているバリエーションルート。時々歩いているログを見かけるけれど情報が少なく、熊が頻繁に目撃されているエリアでもある。


唐松岳(からまつだけ、標高1,856m)に登頂。
北アルプスのそれとは違い、こちらには眺望がないが踏み跡のない雪山歩きが楽しい。



唐松岳からアヤメ平まで戻り、先の裸山まで南進。
進むほどに雪は深くなるものの、チェーンスパイクは不要だった。

南アルプス展望地のひとつ、裸山(はだかやま、標高2,003m)登頂。
眺望のため(?)南アルプス白峰三山〜甲斐駒ケ岳方面が伐採されていて人気の山でもある。山頂はそれほど広くない。


反対側には富士山の頭だけが見えている。櫛形山・裸山をセットで登る方が多く、なかでも絶景スポットとして裸山がよく取り上げられているけれど、このエリアのベストスポットは間違いなくココではないことを、このあと知ることになる。



とはいえ、南アルプスの白峰三山と甲斐駒ケ岳はよく見え、カメラズームすると北岳肩の小屋までバッチリ。


山頂に誰もいなかったので小さなベンチでパンを食べていると、続々と登ってきたので、簡単に済ませ櫛形山方面へ進む。

 

裸山〜櫛形山〜ほこら小屋 テント場


櫛形山方面へ向かう右手には、チラチラと赤石岳、聖岳など南アルプス南部の3,000m峰が!
アレを見ずに帰れるかいッ!


日本二百名山、山梨百名山の櫛形山(くしがたやま、標高2,052m)山頂に到着。


眺望は、富士山だけ見られるように伐採されている。櫛形山山頂からさらに南にある三角点・奥仙重(おくせんじゅう)に向かう。



三角点までは踏み跡があるものの、その先(池の茶屋登山口方面)は積雪量も増えてきて、動物以外の踏み跡なし。ただ、池の茶屋登山口を超えた先にある遊歩道から南アルプス南部も見えるという情報があったので迷いなく進む。チェーンスパイク装着。


三角点から池の茶屋登山口方面にしばらく下ると、まだ(?)地図に載っていない展望地が!
南アルプス南部の山を見たいと思って歩いていたところに、思いもよらぬ至近距離からの南アルプスオールスターズ!
前衛の山であり、超広角撮影をしてこのサイズ感の山の大きさ!近さ!

まだカバーがされたままの山座案内板3枚と新設のベンチ、正式にお披露目/発表は来年春なのかもしれない。ちょうど自分の後ろから来たトレラン2名の方によると、「前回来た11/23に案内板を歩荷していた」とのこと。

この日に櫛形山ですれ違った10以上のパーティは三角点から池の茶屋登山口方面へは進まずに折り返していて踏み跡もなかったし、地図にも載っておらず知られていないのだろう。この絶景を見ずに帰るのは勿体なさすぎる、櫛形山・裸山の山域で一番の絶景地。


左から聖岳、赤石岳、荒川岳(悪沢岳)


蝙蝠岳と、奥に頭だけ見える塩見岳、蝙蝠尾根と仙塩尾根の稜線も綺麗に雪化粧


農鳥岳、間ノ岳、北岳の白峰三山


北岳と、右側にアサヨ峰と甲斐駒ケ岳

場所はここ(標高1,987m付近)
前衛の山からの、南アルプス南部〜北部までまるっと眼前に広がる大眺望!
有名どころの山を列挙すると、南から、山伏、青笹山、笊ヶ岳、上河内岳、光岳、聖岳、赤石岳、荒川岳(悪沢岳)、徳右衛門岳、蝙蝠岳、塩見岳、広河内岳、農鳥岳、間ノ岳、北岳、アサヨ峰、甲斐駒ケ岳… 多すぎる(鳳凰三山は残念ながら見えず)。


展望地からは三角点にピストンせず、池の茶屋登山口方面にさらに下ると「管理歩道」の道標がある。
池の茶屋登山口まで行く予定だったものの、まったく想定していなかった大展望ロケーションで大満足したのでこちらを進む。ちなみに、山と高原地図には載っているけれど、YAMAPの登山地図には載っていないルート。


ここで/^o^\フッジッサーン
1つ前の写真奥に写っているベンチから。櫛形山や裸山の山頂よりも遮るものがなく、こちらも絶景!


分岐を「管理歩道」へ進む。
この管理歩道は道幅1〜1.5mほどのほとんどアップダウンのないトラバース道が、ほこら小屋の少し上まで続いていて道迷いの心配も無い。治山目的の道だろうけれど、道標もしっかり。



トラバースゆえに距離と時間は少しかかるけれど、日陰の北斜面には雪もたっぷりで楽しい。途中、運搬機の引き継ぎポイントがあったり、土曜ということで植林作業員の方々もいて「こんにちは!ご苦労様です!」と挨拶。
上を見上げると、葉が落ちた明るい樹林帯にサルオガセがびっしり。

 

ほこら小屋 テント場 : テント泊



管理歩道を通って、今日のテント設営地 ほこら小屋(標高1,800m)に到着。
新しく綺麗な無人小屋の直下にはトイレ(男子小1、大2、ペーパーあり)。


小屋のすぐ裏手には湧き水を利用した水場もある。


テント場は、50張くらいは設営できそうではあるけれど、少しデコボコしていて超平坦地はそれほど多くなく、多少は我慢。西日が当たるのが良いか、朝日が当たるのが良いか、太陽の位置を確認しながら、なるべく平らなところに。

今回はAliExpressで輸入した中華製ASTA GEAR 20デニール リップストップナイロン フロアレスシェルターを初めて設営。
265×170×135cmの20d シルナイロンで本体実測443g(スタッフサック8g含む)、自分でシーム処理して458g。公称耐水圧3,000mm/㎠は本当かわからないけど、上部ベンチレーター前後2つ、蓄光プラパーツ、縫製も問題なく、使用第一感としては価格の割に満足いくシェルターだった。


自分の他にテントは、男性3名の1パーティ2張。
完全にボッチテント泊になると思ってたから意外だった。先方も同じことを思っていたらしい。
挨拶を交わすと「翌朝は裸山にご来光を見に行く」ということだったので、展望地の話をしたところ、やはりご存知では無かったようで、場所と現地の様子と管理歩道、自分はその展望地に行くことをお伝えすると「そちらにする!」と。
で!す!よ!ね!

自分も計画書の裸山から予定変更だけれど、あの場所を知ってしまい、1回行っていて危険箇所も無いとなると迷う余地はなかった。


本日の寝床がこちら。ウェア類も含めて、-10℃くらいまでは大丈夫な装備(のはず)。


今回は「まい にゅー ぎぁー」のエスケープビヴィのようでありながら通気性がある「謎の製品」をシュラフカバーとして使う。白色のカバーを掛けたら、ルックス ライク グランピング。
こちらも中華製だけれど、期待していた通りの効果(主に防水)があった。内容をまとめてブログにレビューを書く予定。


はじめます!


まずは、いつも通りの「ゴテアラポー」に…


熱燗からスタート。


EVERNEW〈エバニュー〉Backcountry Almi Potと自作アルコールストーブで炊飯。


今夜のメインディッシュは、「キムチ鍋の缶ビール添え」。
1人鍋料理には、アルミポットとスタッキングが可能で少し大きいEVERNEW〈エバニュー〉UL/ALUナベ 700がちょうど良いサイズ。
キムチ鍋のスープはこちらのcookpadレシピを参考にさせていただいた。


\パァァァァァ/
弱火アルコールストーブと強火ガスを工夫して使う。うまうまのうま。
陽が落ちた16:56で-2.8℃となった気温の中、「キムチ鍋とビール」という矛と盾。

 

南アルプスオールスターズの絶景 櫛形山・裸山 : Day2】へ続く

 

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