初めての九州の山 長崎県最高峰 雲仙・普賢岳

2022年8月中旬、九州遠征で山へ。
ずっと登りたいと思っていたものの、予定や天候があわず何年も登れていなかった九州の山。そもそもコロナ禍で、毎年来ていた妻の実家がある長崎訪問も3年ぶり。

雲仙に妻の親戚がいることもり、これまでも展望台からの平成新山を眺めたことはあった。31年前の大噴火のテレビで見た記憶や、土石流被災家屋保存公園を訪れたこともあり、初めての九州の山は長崎県の最高峰 雲仙・普賢岳と決めていた。
今年も天気が安定せず、滞在ラストチャンスの日にやっと登ることができた。

 

雲仙・普賢岳 : 山行ログ

 

雲仙 普賢岳


雲仙市内へ行く義父母、家族とは別行動で、池ノ原園地で車から降ろしてもらい、7:30過ぎにスタート。もちろん、雲仙岳の活動状況を気象庁のサイトでチェック

池ノ原園地(いけのはらえんち・標高820m)は、普賢岳へのメイン登山口、仁田峠よりも少し下に位置する。個人的には遅い時間帯のスタートに感じるものの、九州は関東と比べて40分ほど日の出/日の入時刻が後ろにずれるので、それほど遅いわけでもないっぽい。
池ノ原園地にほかの車はゼロ、8:00に仁田峠循環道路のゲートが開けば先行者はいるだろうと思う。


池ノ原園地から登り始めてすぐに鳥居をくぐる。半袖短パンで気持ちよく登り始めるも、まだ薄暗い樹林帯では多数のアブにまとわりつかれる!ヒィィィィ。
少し開けたアブが来ない場所で白色のウインドシェルを羽織り再スタート。
持ってくるべきものは消音化した熊鈴ではなく、オニヤンマ君だったのでは?


道はまだ本格的な登山道ではなく、参道のように普通のスニーカーでも歩ける感じ。しっとりした森の中をサクサクと登る。


仁田峠(にたとうげ・標高1,080m)に到着。予想通りすでに4台の車が先行して入っている。
下から見ていたとおり、やはりガスがすごい。観光客向けの雲仙ロープウェイはまだ運行開始前。
ちなみに仁田峠への車アクセスルート「仁田峠循環道路」は、一方通行、かつ通行時間制限/協力金設定がある。


ガスが取れるのを期待しながら、妙見岳・国見岳方面へ進む。


ここからやっと登山道という感じの道になってくる。今回のルート全体でよく整備されていて歩きやすく、特筆すべき危険箇所もない。装備から見て、あまり山を歩き慣れていないであろうグループもちらほら。


ロープウェイの山頂駅「妙見駅」がある展望所に到着。ガスガスで眺望ゼロ。
ここまで上がってくると涼しい風が通り、蒸し暑さがやわらぐ。


見晴らし台には妙見岳(みょうけんだけ・標高1,333m)の山頂標識もある。


妙見神社でお参りをして左の脇から国見岳方面へ進む。
一帯は、アルプルなどと比べれば大きい山塊ではないエリアの中に、神社や鳥居が多くあるように感じた。やはり火山であることや、山岳信仰の対象なのだろう。


雲仙の山の特徴として有名な、いくつかある風穴。かつては養蚕用のカイコの卵の保存場所でもあったらしい天然の冷蔵庫。中へ入ることはできないが、涼しい風が吹き出していて、夏でも一帯だけ別世界のような空気感が漂う。

メインルートから少し外れた国見岳へも往復30分ほどで登れるようだが、迎えの時間もあるので今回はパスして時計回り周回ルートを進む。


平成の噴火で溶岩の下に埋まってしまった「鳩穴」へのルートは通行禁止になっている。
今後も中を見ることはできないと思うが、過去の情報を検索すると風穴よりも大きく、夏でも氷があり中に入ることができた洞窟・岩穴だったようだ。


平成新山に近いエリアは、警戒区域で進入禁止エリアが設定されている。
ここも平成の噴火以前は登山道がついていたのだろうか?柵の中を覗くと道が続いていて、監視用などで今も利用されている様子。


基本的に登山道は明瞭で、整備が行き届いている。妙見岳以降は大きなアップダウンがなく歩きやすい。
ちなみに、鳩穴分かれ〜立岩の峰〜霧氷沢分かれまでは道幅が狭く一方通行で、普賢岳山頂から風穴方面へは直接行けないので、周回時にはルート取りに注意が必要でもある。


今回、眺望のベストポイントと考えていた立岩の峰に到着。
もっとも平成新山に近く、大迫力の姿が見られると思っていた場所。虚無の平成新山ビュー。ぐぬぬ。粘るぞ!


粘ること20分。強い風でうまくガスが流れて、わずか1分ほどの瞬間をキャッチ!
現在も出ている溶岩ドームの噴煙はわからず。肉眼でも山頂の岩まで形がくっきりとわかる大迫力。


圧倒的な平成新山の姿をみることができたのでミッションクリア! 今回のピーク普賢岳へ向かう。


立岩の峰から少し歩いて、長崎県の最高峰 普賢岳(ふげんだけ、標高1,359m)山頂に登頂。
本当の最高峰は、普賢岳の東方約500mにある溶岩ドーム 平成新山(標高1,468m)ではあるものの、火山活動がまだ続いていて立ち入りできないのでこちらが最高峰ということで良いのだと思う。いつか平成新山へ登れる日は来るのだろうか?
ここからの眺望は再び虚無。


普賢岳から降りて、仁田峠方面へ周回で下山開始。


活火山がすぐ横にありつつも緑・自然豊かな一帯は、雲仙天草国立公園として整備・管理されていて、景観が観光資源として活用されている。31年前の噴火時も、こちら西側へは火砕流の大きな被害はなかったと思われる深い森が広がっている。


仁田峠に戻ると、こちらにも鳥居と神社があった。無事下山のお礼と、また来ます!と帽子を脱ぎ、手を合わせる。


仁田峠からも、平成新山はもちろん見えない。
ミヤマキリシマで鮮やかにピンクに染まる6月の雲仙にも来てみたいが、関東在住だとなかなか難しいのが残念。


雲仙ロープウェイは動いていて登山ではない観光の方もいるが、自分だったら乗るかどうかかなり迷うであろう濃霧。気温は21℃で、歩くにはちょうど気持ちが良い。


雨の心配はないが、ガスさえ晴れていれば…。昨日と一昨日は雨だったし、翌日も雨、実際この日しか雨に降られず歩くことはできなかったとはいえ。
長崎は今日も雨だった、という曲が生まれるのも頷ける天候ということか。


仁田峠から登山を開始した池ノ原園地方面、さらにその下にある雲仙温泉街へ降りる。


日帰り装備だと荷物軽くラクで、テント泊装備の山行に戻れるのか若干不安になってくる。
消音化した熊鈴は、何か事故を起こせば鳴るのでお守り程度につけている。それにしても、(九州には)クマが生息しない(と言われている)というだけで、気持ちがめちゃくちゃ楽。相変わらず目撃情報は多く存在するみたいではある。

 

雲仙温泉・雲仙地獄


池ノ原園地から下もミヤマキリシマの群生が見られる遊歩道があり、東屋も所々にあり、ピーク時や紅葉時期には人でごった返すのだろう。


少しのロード歩きを経て雲仙温泉街へ。
ロードバイクで登ってくる人や、ツーリングバイクのグループも多い。薄曇りながら雨の心配はなく、飲食店やお土産も人で賑わっている。
ただコロナ禍の状況から観光グループや海外からの訪問者は少ないようで、早く落ち着いて以前のような賑わう街に戻って欲しいなと思う。


雲仙温泉街にあるアウトドア、登山ショップmountain west peak
今回は入浴前で入店しなかったものの、以前ネット通販で購入したことがある。個性が出る品揃えのほか、首都圏のショップにストックが無いアイテムや少し前のアイテムをセールで在庫を持っていたりするので、掘り出し物探しなども楽しい。
昨年2021年7月には諫早市の繁華街に2号店 N2mountainもできたようで、長崎滞在時に知っていれば訪問していたのに、と悔やまれる。


日帰り温泉に入るべく温泉街をテクテク歩いていると小浜消防署雲仙分駐所があった。
火砕流や土石流の方角とは違う分駐所だが、平成4年(1992年)雲仙・普賢岳噴火時にTV映像でみた「雲仙」表記されている消防車のインパクトある記憶が蘇る。
メモ:噴火史PDF


温泉街のやや外れにある日帰り温泉可能な「雲仙よか湯」へ。
内湯と露天があるこじんまりとした、少し白濁した温泉でゆっくりとリラックス。他にも日帰り入浴をやっている旅館や施設は複数ある。


温泉のあとは温泉街中心部に少し戻り、雲仙地獄を散策。たぶん3度目の訪問。
ぶくぶくと高音の温泉が沸き、湯気が轟々とあがる、まさに「地獄」とも思える雰囲気は何度きても圧倒される。

駐車場からもすぐで、箱根大涌谷のように山道を登らなくても見られるので、サクッと散策にもおすすめ。温泉卵は食べそこねてしまった。


雲仙市街から戻ってきた義父母、家族にピックアップしてもらい、海沿いの雲仙市小浜へ。
こちらも古くからの温泉街で、無料の足湯や旅館などがある。地場産の魚介類やお土産屋が並ぶエリアで長崎名物 食べるミルクセーキをいただきクールダウン完了。

 

今回は訪問しなかったが、雲仙市(温泉街からは車で30分ほど)には噴火の資料館がいくつもあり、かなり圧倒されるので、雲仙訪問の際は登山や温泉だけでなくそちらへもぜひ訪れてもらいたいと思う。

雲仙災害復興ツーリズム情報はこちらにまとめられている。土石流被災家屋保存公園と、雲仙岳災害記念館(がまだすドーム)は、雲仙を知るうえでマストと思う。

警戒区域に指定されている雲仙火山の溶岩ドーム(平成新山)に、学術調査で入られている記録を見つけたのでメモしておく。

先日の那須岳安達太良山であったり、日本で登山をしているとどうしても活火山に足を踏み入れることがあるので、装備であったり、心構え、情報収集など、個人でできうる事前準備は怠らずに今後も楽しみたいと思う。

来年も九州へ来ることができれば、3年前に見た由布岳や九重連山、もしくは4年前に見た阿蘇がターゲットになるだろうか。来年以降を楽しみにしておくとしよう。

 

メモ:ウェアリング

 

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